ポテンシャルを観る(伸びしろを観る)

(1)身体的ポテンシャル

身体的ポテンシャル

①身長、筋力など個人が持っている伸びしろ、
及び現在の状態

②技術の習得度
③身体的体力の有無

例えるなら背が大きい、小さい、筋肉がある、痩せている。

この事から背が高く、筋肉質である個人が背が低く、貧弱な体型の個人と競争したら勝つ可能性は高い。誰でもが判断できるでしょう。

そしてもっと重要なポイントは、成長の度合いです。解りやすい言い方をするならば早熟なタイプか大器晩成タイプかです。当然タイプにより練習のアプローチも変える必要はあります。

(2)精神的ポテンシャル

精神的ポテンシャル

①粘り強さ、我慢強さ
②柔軟な発想、発想を転換できる能力
③判断力、決断力
④精神的体力の有無

次に観なくてはならないものが個人の精神的ポテンシャルです。

これは目に見ない部分が多く、所作や振る舞い等から判断する必要があります。

身体的ポテンシャルが高くても精神的ポテンシャルが低ければ頑張っても上手くいかない場面はあります。
この時、柔軟な発想をとりやり方を変える事ができるかが大切になります。

客観的に自分を観て判断、決断ができる。慣れ親しんだ方法を捨て新しい方法を選択できる能力があるかを観ます。
これは目に見えない事なので経験が浅い指導者では個人の身体的ポテンシャルのみ見て、精神的なポテンシャルを無視するため選手を潰す指導者も多く見てきました。この時の指導者(コーチ)の役割は、選手に自分の考えを押し付けるのではなく選手が自分で考え、判断し、決断できる様にサポートすることだと私は思います。

(3)状態

しかしもっと厄介なものが状態です。

状態とはポテンシャルの事ではなく選手個々がおかれている状態によって個々の持っている特性が良い状態か、悪い状態かの判断をする。という事です。

状態2_図

上図にあるように、元気、積極的、行動的といった(陽)の要素が強い個人が良い状態であれば、積極性・明るい・リーダー性勇気ある行動・優しい性格人気者・ムードメーカーといった形で現れます。

しかし悪い状態であれば、落ち着きがない・無謀な行動・トラブルメーカー・喧嘩早い・場の空気を読まず場を壊す。等があります。この状態とは今個人がおかれている環境、生い立ち等様々な要因がありますが、悪い状態の時に行動を開始しても良い結果にはなりません。先ず、悪い状態であれば良い状態に戻してから行動を開始する必要があります。

ベイサイドアスレチッククラブが1ヶ月の体験を設けている理由はそこにあります。先ず状態を把握する。悪い状態であれば良い状態に戻す。その為には最低でも1ヶ月は必要になります。

そして最後の状態は目に見えないだけでなく常に変化する厄介な存在です。指導者は身体的ポテンシャル・精神的ポテンシャル・状態を常に注意深く観察しその場にあった指導を行わなければなりません。松尾式が邪道であると思う要因として、この様な事から決まったマニュアルがない。あってはいけないと考えるからです。個人のポテンシャル、その時の状態に合わせた指導を行わなければ選手は潰れる可能性があります。
一人も選手を潰さない事が指導者として重要だと考えます。

そこで、ポテンシャルを公式で表すと以下の様になります。
身体的ポテンシャル(A)+精神的ポテンシャル(B)×状態(+ or -)=現在のポテンシャル

現在のポテンシャルが確定した場合は「練る」段階に入ります。

ここからは指導者によっては見解が分かれると思います。先ず,上記の公式に沿った方法でポテンシャルを確認できたと仮定して、弱点を強化する方向で考えるか、強みを伸ばす方向で考えるかです。 私の考えは優先するのは状態です。

状態が悪い状態、あるいは悪い状態に近いと感じた場合、弱点を強化する事は絶対にしません。そして良い状態であれば、(陽)タイプには勢いで(陰)タイプにはじっくり考えて行動できる余裕を与えて伸ばす様にします。そしていずれも、課題→課題をこなすことで得られる経験→評価→新たな課題を繰り返します。そして強みを活かす方向性をとります。身体要素が優先であれば身体的な優位な面を伸ばすことにより精神的要素が後からついてくる。この様なやり方が有効であると考えます。

逆に精神適用が強みの場合、毎日継続的にできる課題を与えます。
(陽)タイプにはのりでと勢いを大切にさせ、
(陰)タイプには、コツコツと記録させるなど目に見えて結果が見られるようにすると良いでしょう。
この様にして個人のポテンシャルを把握したうえでどの様に強化するかの道筋を考えます。これが「練る」という事です。

状態3

 

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