子育てのヒント
2023年04月30日

個を伸ばす

   個を伸ばす 

    最近流行の個性を伸ばす社会のあり方について疑問に感じる事があります。個性を違う言い方で表すと特徴という言い方もできます。この特徴を大事にして伸ばす。これが個を伸ばす社会になる。個を伸ばせる社会とはこの様な社会や集団である。この様に考える事ができます。もし、個の特性を尊重し実際任せた時に失敗をしたとします。何回目までは許容範囲で何回目からは許されない範疇になるのでしょうか。特徴も良い方向性で発揮されるだけではなく悪い方向性で発揮される事もあります。下図はその分類を表にしたものです。



 この表では人を動・陽と静・陰に分けそれぞれ良い方向性と悪い方向性に分け4つのグループにしています。それぞれをA,a,B,bで表記しています。個を伸ばす指導とはそれぞれの特徴をA,Bの状態にキープする。あるいは目指す事でそれぞれの特徴を甘やかす事ではないと思います。そこで特徴を良い方向性で発揮できる様にするにはどうすべきかを考えてみましょう。

1,特徴の強みを知る
 私は個性を特徴と考えます。特徴は、動と静、陽と陰といったグループ分けができます。一見、動や陽がポジティブで静や陰がネガティブととらえられる傾向が強いですが、動と静、陽と陰が同じチーム内にいてお互いが自分の良い面で協力し合えるチームは結果的に成功するチームです。これは難しい課題になりますが個人の中に動と静の要素を併せ持ち、場面に応じて使い分ける事ができる人間がいたら最強です。動や陽は可能性や行動力の源に、静や陰が慎重さや暴走を止める抑止力として機能する。車のアクセルとブレーキの様に適切な場面で正しく作用することができる。ここまでやって始めて個性を伸ばす指導といえるのではないでしょうか。動や陽の良い面はポジティブに考える事ができ迷いのない行動力にあります。しかし慎重さに欠け思わぬ落とし穴に落ちる可能性も有ります。静や陰は慎重に注意深く物事を分析しリスクを回避することができますが行動すべき時に躊躇して動けない。この様な欠点もあります。この様な個の特性を理解し暴走や躊躇で失敗をしない人間を育てる事が個性を伸ばすという事です。

2,自分の弱みを知る
 自分の弱みを考える時に動や陽のポジションが強いと認識していれば慎重さや計画性の欠如。逆に静や陰のポジションが強いと認識していれば行動力がなく大胆になれない。これが自分の弱みと考えがちですがこれは自分の弱みではありません。例えば特徴が良い方向性で出ている時は長所として認識されますが悪い方向性で出ている場合は短所となります。そこでこの短所を直すべく特徴を整える作業(指導)をします。動や陽の場合はしっかり考えて行動できる慎重さを求め、静や陰の場合はリスクに臆病にならず積極的に行動する姿勢を求めます。しかしこれでは自分の不得意とする事をすることになりますので失敗のリスクと引き換えに成功のチャンスを潰していると思います。
 弱さとは自分の特性が故に失敗を繰り返した時に自分の特性の良さを信じ切れなくなった時です。また失敗には理由があるのでその理由を分析し成功するためのマイナーチェンジができない事です。その為に必要なことは経験しかないと思います。しかし失敗が続くと指導的立場の人間は我慢できなくなり失敗のリスクが少ない無難な方向性を模索します。これでは強みを消し平凡な個にすることになります。

3,個を伸ばす指導
 個を伸ばすための指導で大切な事は失敗を受け入れなくてはならないことです。また選手や子ども、時には部下が提案した事をある程度の結果が解っている状況でもやらせてみる事だと思います。交通機関を使った失敗の例で出したBの例でもBの行動を容認したうえで「本当は何をしたかったの」という課題を投げています。これは上記の自分の特性に懐疑的になる事を防ぐ意味合いと成功するためのマイナーチェンジのヒントになるような助言をすべきと考えたからです。もしBの言動や行動にもっと考えて行動する様にと叱責した場合Bはどうすれば良かったかと考えるよりも、怒られない様にするにするにはどうすれば良いかという思考になります。これは良くも悪くも本来もっている特徴を削り平凡な人間にしてします。あるいは腐らせてしまい結果的に悪い方向性に定着させる事になりかねません。そこで考えて欲しいのならば「本当は何をしたかったの」という問題提起を行いその都度確認の作業をする必要があります。すぐに効果が出る場合とそうで無い場合がありますが指導的立場の人間はどこまで辛抱強
く結果が出るまでを見守る必要はあるでしょう。

 雑記
 個を伸ばそうと考えて指導する場合、指導者側の辛抱は必須になります。私見ですが、私はその場合必ずゴールを決めます。ゴールというよりマラソンでいうところの制限タイムの様なものです。付き合っていいのですが改善がみられない場合、また間違った方向性の判断などを続ける場合はどのタイミングで切り捨てるかの見極めも必要です。これは陸上競技の指導の際にも感じた事ですが、見切られる選手の多くに不足しているのは自分をマイナーチェンジするための一歩を踏み出せないという事です。したがって指導的立場の人間は最初の一歩を踏み出す勇気を教えることも忘れてはいけない大切な要素であると思います。