松尾メソッド
2023年06月15日

目的から練る

 目的から練る 

 人間には表と裏があります。これは本心と下心の様な捉え方を言い表す言葉ですが、私が裏と表で表現する場合は表が自分から相手を観ている視点であり、裏が相手が自分を観ている視点と考えます。簡単な言い回しをすれば自分がよかれと思って助言しても相手が皮肉を言われたと感じてしまえば効果は出ません。ややもすれば逆効果にもなります。自分たちが選手として活動していた時には指導者の権限は強く指導者の指導は絶対という風潮がありました。同じ様に先輩の言う事は絶対という時代も経験しています。この場合の裏と表とは指導者の思い、選手の思いが一致している事。もし若干の食い違いがあれば選手の思いを優先することが結果的に良い方向に繋がると考えます。当然その場合選手が行わなければいけないこともあります。それは後ほど触れるとしましょう。

1、目的を整理する
(1)大きな目的を整理する
 大きな目的はチームとしての目的です。誰をチームの中心として考えチームを作るかといういう事です。言い方をけるならばこのチームが良い成績を残すという目的を掲げた場合誰がチームリーダーとしてふさわしいかを決めるになります。これは以下の通りになります。
 ①目的・・・チーム(リレーチーム)での好結果を目指す。
 ②方法・・・その為のチームリーダーを誰にするかを決める。
 今現在の結果はCがDに勝っていますが将来的に誰が中心となるべきかは決まっています。その証の場とした記録会で思った様な結果は出ませんでした。そこで今日の結果ではなく将来的な展望でチームを作ることを考えた時にDをエースに据え、他のA~Eの選手をどの様に強化して行くかを考えます。その為に指導者がやるべきことはDの現在の実力と今日の失敗の原因を把握させる必要があります。Cについては欲が出る(できる選手)に成長させることが必要になります

(2)個々の目的を整理する
 個々の目的とは指導者がそれぞれの選手の能力をどの様に伸ばす。引き出すことができるかになります。上と同じ様に整理すると下記の様になります。
 ①目的・・・チームの成績を上げる為に個々の能力のポテンシャルを上げる。
 ②方法・・・タイミングと選手個々に一番良いやり方を工夫する。
 この様になります。ここで重要なことはタイミングと結果です。結果的にDは失敗をした事になるので瞬間的な後悔に似た感情を抱いているはずです。そして将来的にDをチームリーダーと考えるのであればDの失敗を上手く利用しない手はないと考えます。では事細かく分析し指導したらどうなると思いますか。前半に触れた表と裏の関係がここで重要になります。この瞬間Dは後悔に似た感情を抱いているはずです。失敗の原因もある程度分析できていると思います。そこに追い打ちをかける様な指導をされたと想像してください。私なら良い感情は抱きません。指導者の気持ちは理解できます。しかし感情と頭は違った方法を向くことになるでしょう。良い指導者的確な指導は勿論ですがこの時、感情と頭(思考)が同じ方向を向くようにしなければなりません。そこでメッセージで指導するという方法を取ります。

 先ず君の実力は知っている。なぜなら今までの君の練習の取り組み方を観ていれば解る。しかし今日君は失敗した。理由は君は解っているはずだと思う。同じ失敗を繰り返さないために今日の経験は活かす様にしろ。効果的な方法は短い言葉で言いたいことを要約したメッセージに込める。そこで以下の様なメッセージができあがります。

 真剣勝負ならおまえは死んでいる。死んでしまったら次はない。だから次は確実に止めを刺せ

2,相手のポテンシャルを正確に観る
 今までは目的と方法について書いてきましたが一番重要なことは選手がこのメッセージを正確に受け取る能力があるかということです。中には全く意味が通じない選手もいます。この様な場合この様なメッセージは全く無意味になり選手を混乱させるだけの事もあるため日頃の会話の中でメッセージを受け取る能力も高めておく必要があるでしょう。

 雑記

 最近とある在京のプロ野球軍チームが大学生と練習試合をして負けたといニュースがありました。その罰として罰走なるものを選手に課したそうですが効果はあるのでしょうかと考えてしまいます。この記事を内情は解らず字面だけで感じる印象ですが監督はチームとは別なのでしょうか。負けたことをチームの責任としての罰走ならば一番の責任は監督にあるのではないでしょうか。監督も一緒に走ったのかな?もし監督が罰走を指示しているだけなら監督はいりません。選手に全て任せれば良いだけの話です。令和の世の中に昭和かと突っ込みを入れるのではなく上に上がって戦力とならなければいけない選手を育てる目的に沿っているかが疑問です。

 そう言えば、陵南が湘北に負けてインターハイに出場を逃した時、陵南監督の田岡茂一監督は「敗因はこの私!!陵南の選手達は最高のプレイをした!!」て言ってな。格好良すぎると思いませんか!!