松尾メソッド
2023年06月11日

観て練る

 観て練る

 選手や子供の可能性を伸ばす目的を考えた場合には対象を正確に観てどの様な方法が一番効果的かを判断することが大切です。先ず観ているの対象のポテンシャルと状態を性格に把握し、そのポテンシャルと状態からどの様な方法を取るべきかを判断する行為が「練る」になります。前回の100mのレースの例でいえば,先ず選手個々の身体的ポテンシャルを観ます。これは今の選手個々が持っている現在の力や可能性を観ています。先のレースの段階ではDはCよりも身体的にはポテンシャルは高いと判断しました。80m付近で先行するDにCは追いついています。これはどちらのポテンシャルが高いか判断する材料になります。しかし結果Cが勝っています。これは身体的ポテンシャルと精神的ポテンシャルを足した数値、実力でDがCよりも勝っていましたが結果は違うものになりました。これには二人の経験値の違いが影響しています。
 経験値の他にもCが学年が上であること。学年による人数の有意差など確実にCはDに対し優位でありそ、のアドバンテージも結果に影響していると判断していると考えます。次にに状態を観ます。状態はレースの結果が出た瞬間を点と考えるならば,その点に向かってどの様な経過を辿ってきたかの経緯を観ます。もし、Dが納得の行くような練習を行う事ができたとしたら悪い状態ではありません。しかし,自分の思うような練習ができない。けがや練習を妨害する様な出来事があった場合悪い状態の可能もあります。もし,悪い状態の時に思う様な結果が出なかった。この時に指導者の声かけ一つで悪い状態がて定着し長いスランプになる場合もあります。ポテンシャルと状態(悪い状態)については以前のブログでも書いているので今日はその活用法を書きます。

1、ポテンシャルを観る
(1)身体的ポテンシャル
 身体的ポテンシャルは選手が持っている筋力、筋持久力、筋肉の柔軟性や筋疲労の回復力(時には内臓や骨の疲労回復力)等の車にたとえるとエンジンにあたる要素のものと考えて下さい。もう一つが無駄な力を使わずエレルギを効率的に使ってはスピードを出せる走る技術があります。これはドライバーのテクニックと考えます。強いエンジンがあってもドライバーの技術が未熟であれば良い結果にむずびつきません。技術が高ければエンジンが大きいほど良い結果に繋がります。この二つの要素のバランスが良い時がポテンシャルが高いと言えます。以前ポテンシャルを上げる方法についても書きましたが身体的ポテンシャルは常に右肩上がりで上昇し続けるとは限りません。同じ内容の練習を行っていても筋肉の与えるダメージや疲労の回復には個人差があります。また筋肉量や筋肉の性質でも蓄積される疲労は異なります。そこで身体的ポテンシャルを観る場合3歩上がって2歩下がる。この様な状態を継続的に行い。少しずつポテンシャルを上げていくことになります。

(2)精神的なポテンシャル
 精神的ポテンシャルとはその人間が持って生まれた特性(性格)の良い点を上手に利用できる技術を身につけている。成功、失敗の経験を活かす能力を習得していることで広い視野で物事をみる、考える,判断できる能力が高く柔軟な思考ができる。この能力を活かし成功により近い方法を選択をすることができる。この能力が高い選手を精神的ポテンシャルが高いと考えます。この能力が高くなれば困難や壁にあたった時に解決の糸口を探し前進することができます。この事で自分の状態を常に「良い状態」に保ち続けることができます。

2,状態を観る
 状態を観るとは選手が今「良い状態」か「わる状態」の判断をすることです。以前のブログでも悪い状態と悪い状態が起こるメカニズムついて解説しましたが、結果に対して同じアドバイス、同じ批評をしてもこの状態が逆の場合は全く違って解釈される危険性があります。例えば失敗をした際のアドバイスでも「良い状態」の場合は肯定的に捉えることができても「悪い状態」の場合には同じ内容でも皮肉を言われていると感じとられることもあります。悪い状態ができるメカニズムは以前「葛藤と何か」でも触れています。物事に真剣に取り組めば上手くいかないことも増えます。中々突破口が見つからずもがいている時間が長くなれば精神的ポテンシャルが高い選手でも「悪い状態」になります。長く努力を続けているにも関わらず結果に結びつかない。上手くいかない。この様な時には慎重に選手の状態を観察しなければなりません。その他、今の精神的ポテンシャルはとても充実し力がついたと判断した場合、状態が悪くても敢えて厳しめのアドバイスの方が効果的であることもあります。選手の状態を観る目は指導者必須の技術と私は思っています。

3,戦術を練る
 戦術とは選手にどの様なアドバイスを与えることが今後にとって効果的かを考えることです。この時に重要なことは選手個々のポテンシャル(身体的・精神的)の能力と選手個々の性格です。この場合の性格とは選手の目的意識と考えて下さい。私はこの目的意識を3つのグループに分けています。以下はその分布と性格を表したものです。下記の表は全て良い状態でのコンデションを表します。

 ここで前回の100mレース後選手個々のスペックを分析します。スペックはこのレースの瞬間のスペックと考え以下の様な式で考えます。
{ F(身体的ポテンシャル)+M(精神的ポテンシャル)}×X(経験値)=P(個人のポテンシャル)
  ↓ これにこ仮に選手個々の能力をわかりやすく数値化してみます。
  ↓ ※この数値化は独断と偏見を多く含みます。
 C F(81)+M(65)×X(1,20)=175,2
 D F(90)+M(95)×X(0,90)=166,5

 前回の投稿での違和感はCとDを単純にF+Mのみで判断するとC(146)D(185)という数値になります。この違和感を増長させる要因にCはやらない選手の傾向が強くDは圧倒的に出来る選手の要素が強いという事実があります。ここで勝敗の結果を分けた要因は経験値と言えます。そこでこの経験値を上手に活かす方法を考えます。この行為が「練る」という行為です。そこで伝えるべきことを整理してDに伝えるます。整理した項目は以下の通りです。
 
 ①実力はDの方が上である。
 ②将来的にDはCを超える。今現在も実力は超えていると判断する。
 ③敗因は経験値の差。Cは県レベルの大会で勝った,負けたの経験をしている。
 ④今日の経験を自身の経験値として活かし次は失敗の無いようにしなければいけない。

 以上の4点を効果的に伝える方法として「真剣勝負ならおまえはもう死んでいる。死んでしまえば次はない。だから次は確実に止めを刺せ」の言葉が出てきたました。

 後記

 もし,上記の①~④を伝えたいのなら解りやすく説明した方が良いのでは。そう思いませんか。選手はこの1行ほどの言葉。むしろ台詞がいかに効果的かを深掘りします。前回の投稿でも若干触れていますがそれを差に深掘りします。重箱の端をつつきます。興味のある方は読んで下さい。