メソッドのエピソード
2024年06月17日

ポテンシャルと実力

 前回の投稿でポテンシャルについて少し触れました。今日はポテンシャルの考え方について持論を述べます。この考え方は自分が陸上競技の指導に中で経験した事とを文献等を組み合わせて考えたものです。言ってみれば独断と偏見でできてはいますが参考になる点も多いかと自負していますので興味のある方は是非読んで自分なりにアレンジして下さい。使える所は使い、違うと思う部分は切り捨てて活用することをお薦めする内容にです。まず実力とポテンシャルは違うという事です。そしてポテンシャルには身体的ポテンシャルと精神的ポテンシャルがあります。それが下の図になります。

 上の図がそれぞれのポテンシャルを解説したものです。身体的ポテンシャルと精神的ポテンシャルを足した物が各自のポテンシャルとなります。上の図では身体的、精神的ポテンシャルとも半分の割合で書いていますが当然個人差はあります。身体的ポテンシャルが高いが全く考える事ができない「脳筋」と言われるタイプから、少ない身体的能力を工夫と努力と継続で上げていくタイプまで様々です。指導者が大切にしなければならない事はそれぞれの特性にあった指導を行う事です。例えば、あまり考えない、考えることが苦手なタイプであれば、ある程度指導者がレールを引いて上げる必要があります。このタイプは強い言葉(単語)でヒントを与える方が効果的です。逆のタイプであれば本人が考え判断できる余白を多く残しつつある程度は自由にやらせます。経験が浅い場合は失敗もありますが成功へ近づける為の一歩と割り切って考える事も必要になるでしょう。この様にして身体的ポテンシャルと精神的ポテンシャルを合わせたものが選手のポテンシャルになります。この解説を分かり易い別の例に置き換えます。それが下の例です。

 この例は100万円の車を買いたいと考えた時に自分の貯金は現在50万円ある状況だと考えた下さい。これを身体的ポテンシャルとします。50万円では100万円の車は買えません。そこで残りの50万円を貯める事になります。お金を貯める方法を考え、計画をたて実行する。時には無駄使いしたくなる気持ちをコントロールする。家計を切り詰め、誘惑に負けそうになる自分を叱咤激励し目標までの道筋を考え、実行する。この能力が精神的ポテンシャルです。そこで目標の100万円に到達し車を買うことができるまでのお金を貯めることに成功しました。これがポテンシャルになります。
 これを陸上競技に当てはめて考えます。先ず目標ができます。100m高校男子であれば10秒台で走りたいと考えるでしょう。これが目標となり出発点になります。そこで自分自身の実力を考えます。自己記録が11秒4であれば現在のポテンシャルは11秒2前後と考えます。ポテンシャルと実力に差がある理由は後で解説します。100mで10秒台を目指すのであれば、100mを10秒台で走れるポテンシャルを手に入れなければ10秒台では走れません。具体的に言うと、筋力を上げる。この事によってストライドが伸びます。ピッチも上がると思います。次に技術の問題があるでしょう。無駄な力が加わる事でスピードを上げようとしている自分の意志とは裏腹にスピードが落ちる。この様な問題点をどうすれば改善できるかを考え、練習の方向性を判断し実行するのが精神的ポテンシャルになります。またストライドとピッチどちらを重要に考えて練習の方向性を決めるのも精神的ポテンシャルの役割です。精神的ポテンシャルのもう一つの役割は続けるための選択を正しく行うことです。苦しい時や壁にあった時、結果が伴わず焦りとストレスがピークに達した時などに自分自身をコントロールし間違った選択を回避し正しい選択をする能力も精神的ポテンシャルの重要な要素です。そしてこの2つのポテンシャルを合わせたものが自身のポテンシャルと考えます。そこで疑問が出て来ると思います。ではポテンシャルと実力とは一緒ではないかという疑問です。そこで実力についてもう一度考えてみましょう。実力の条件はどの様な状況においても結果を出せることです。それが下の図です。

 上の図を見れば違和感を感じるはずです。これが私の独断と偏見に基づく根拠になりますが、実力の最後的に必要な要素が運って何だって話になりますよね。今日は運について掘り下げる話です。例えば上に書いた様に選手には様々なタイプがあります。これはポテンシャルだけでなく選手にとっての相性もあります。短距離選手にとって風は重要な要素です。当然記録を狙う場合には追い風が有効ですが選手によっては向かい風に滅法強いタイプもいます。記録で考えれば向かい風は誰にとっても不利になりますが勝負で考えれば全く平等であるとは言い切れない部分もあります。全く平等にするならば風が全く起きない状況を人工的に作らなくてはなりません。また陸上競技において参加資格を得るための標準記録があります。良いタイムが出ても風が+2,0m以上吹けば公認されません。たった0,1mの違いで公認されるか非公認となるので天国と地獄の違いはあります。これが実力を決める最後の要素が運であると考える最大の理由です。
 実力は運次第。これでは努力することも練習する意味もないと感じてしまいます。だから運は作ればいいのです。ではどうやってって話になりますが、天候が悪くなるといった情報を事前に知っていれば悪い天候に対処できる準備をすることができます。極端な話ですが1週間分くらいの天候の予報は入手できます。試合当日の天候(雨、風)を予想した場合に今日は天候の条件が悪いから練習は室内で行うではなく、敢えて悪天候化で試合当日のシミュレーションをする。当然試合当日のピーキングを配慮して行います。シューズ、スパイク、着替えなどは3倍は用意する。そして一度経験した自分にとって不利な状況で思う様な結果が出なかった時のデータをしっかり分析し対処法を用意する。運を味方に付けるとは、どれだけの事柄を想定し準備するかで決まります。簡単に言ってしまえば「想定外」を作らない。となります。ではどうすれば良いかですが、兎に角行動を多くする。しかないと思います。想定外を作らず準備を万端にするには経験が必要です。多く行動するとは多く経験をすると言い換えることもできます。失敗も含め誰よりも多くの経験をすること。これは練習段階で様々な状況やアクシデントに対する起こりうる事柄を想定しイメージするだけでも違って来ます。そうするとしたの様な状況になります。

 この図は前回の投稿でも提示した図ですが、この場合は水を入れたバケツが不安定な状態になることを想定し、事前に水がこぼれないような準備をしていたから水がこぼれなかったといイメージです。自然界では絶対起きない現象ですがポテンシャルと実力を説名する良い例だと考え提示しました。安定した状態でのバケツ場合がポテンシャルと考え、不安定な状態でも水がこぼれない状態を実力と考えます。それは準備が完璧にできたと考えることができます。しかし想定外なことは起きます。その想定外の分は不安定なバケツから落ちます。これが実力よりもポテンシャルが高い値を示す根拠になります。その場合は想定外を経験値として次回に活かす工夫をすることで実力はさらにアップデートされることになります。

 後 記

 ポテンシャルがずば抜ける選手は第一印象から光る物があります。その場合のポテンシャルは身体的な要素よりも精神的要素が強く影響している様に感じます。これは雰囲気、佇まいなどで感じることができます。次回はこの精神的ポテンシャルをもう少し深掘りしようと思います。