メソッドのエピソード
2023年01月10日

悪い状態 1

 悪い状態 1

 メソッドの中で悪い状態の時は何をやっても上手くいかない。この様に書きました。具体的に悪い状態とはどの様なものなのかを説明していきます。
 まず、幼児期に現れる「イヤイヤ期」や思春期の「反抗期」などが悪い状態かと想像する方も多いと思います。悪い状態とはその様なものとは違い、精神的、時には肉体的に悪くなる原因があるものを言います。例えばイヤイヤ期や反抗期が風邪の様なものであれば悪い状態は肺炎の様なものと考えると解りやすいです。風邪なら暖かくして安静にしていれば治る事が多いと思いますが肺炎であれば適切な処置をしなければ命に関わります。熱が出て、体がきつくなる。似ているようで全然違うものが「悪い状態」だと私は認識しています。
 この様に感じる様になったのは保育園の経営を始めた頃からです。それは幼児の特徴には大人よりもはっきりと善悪の判断をする。この様な特徴があります。悪い事、良い事の判断は大人より明確です。しかし反面、その行為が悪い事なのか、良い事なのはの区別は曖昧です。話ができる様になった段階での善悪の区別は、相手を傷つける(暴力)等の行使、約束を守らない。この様な事柄は自分の非を認め謝る事ができます。例えば、故意でない失敗で相手を傷つける行為をしてしまった場合、自分の非を認め素直に謝る事ができます。また、素直に「やばい」という表情もうかべます。しかし相手に何かされた場合などは、自分がやり過ぎたと思える場面でも相手が悪いと主張します。この様な状態が「悪い状態」であるといえるでしょう。このケースは大人になっても多くみられる事なので当たり前の事なのですが、もし、幼児期にこの様な状態(悪い状態)を大人が理解し適切な処置を行った場合子供の成長には様々な面で好影響をもたらすのではないかと思えます。そこで、悪い状態について少し深堀して考えてみましょう。

1、成功のピラミッド

   上の図は成功のピラミッドというものです。このピラミッドの構造はアメリカのスポーツ心理学者、ジム・レーヤー著「メンタルタフネストレーニング」を参考にし、現場の経験を元に独自に考え出したものです。イヤイヤ期や思春期における心の不安定さは、ピラミッドでは「葛藤」にあると思います。悪い状態はその下の「不満」にあたると考えてます。したがって、イヤイヤ期や思春期を上手に切り抜けた場合、その経験などが成長に繋がりますが、誤った対処をすると「不満」の域に長く止まる事になります。この域に長く止まる事で下の「無関心」の域に降下する事になります。どんなに素晴らしい素質があったとしても一度「無関心」の域に落ちてしまうと再び上昇して降ることは難しくなります。また「葛藤」の域でも,葛藤から抜け出し「不安の」域へ登るためのヒントをつかんでいる「上方の葛藤」域、焦り、苛立ちから不満の域へ落ちてしまう寸前の「崖ぷちの葛藤」域があります。前出の例でいうならば、幼児は善悪に対する反応と損得に対する反応には著しくずれがあることが原因だと考えます。この傾向は小学校高学年前後まで続きます。これは小学校時代には取っ組み合いの喧嘩をする事はありますが中学、高校と進むにつれてこの様な喧嘩はしなくなります。しかし、不満は内面に隠され、かえって厄介なものになる事もあるので取っ組み合いの喧嘩があながち悪いものばかりをとは限らないともいえるでしょう。
 
2,子供と大人の平等、不平等の感覚のズレ
今度は子供の立場、大人の立場で平等、不平等のズレについて考えてみましょう。下図はその考え方を図にした物です。そこで1つの例を出します。
(例)
 相手が私に最初に嫌な事をした。幼児の場合は自分が使っていたおもちゃを横取りされた等があるでしょう。中学生くらいでは悪口を言われた等もあります。

(1)子供にとっての平等

相手が先に原因を作った=相手を殴った その結果相手にけがを負わせた

たとえ相手にけがをさせても最初に原因を作ったのは相手である。したがってけがをしたのは互いの様だ。だから関係性は平等と思う。

(2)大人にとっての平等

相手が先に原因を作った<相手を殴った その結果相手にけがを負わせた

たとえ相手が原因を作ったとしても、相手にがをさせたのは自分の非がある。したがって関係性は平等ではなく自分の責任が大きい。
この様な展開はよくあります。保育園や学校の現場でもあります。親も交えて面談という展開も・・次回は最善と最悪の対処について考えてみましょう。対処によっては成長を促す「葛藤」の域へ、あるいは「不満」の域へ下降するか。分かれ道になります。