子育てのヒント
2023年01月24日

状態を観る

 状態を観る

 状態を観る時に注意する事は今が「悪い状態」であるかを見極める事です。子どもや幼児が機嫌が悪いと感じた時、全てが「悪い状態」とはいえません。一時的な感情の不安定な時であったり、悩み、迷っている状態の時があります。この場合、時間が解決する事もあります。しかし、悪い状態ははっきりとした原因があり、その原因を取り除かなくては問題は解決しません。この状態の一番危険な要素は、時間がたつと問題を解決するのではなく、問題に枝はがつき、問題の元となった人間自体を否定する様になる事です。そこで、実際に保育の現場であった事例をもとにどの様な解決方がベターかを解説します。
 
1.幼児の認識と大人の認識がずれた時
 子どもは3歳くらいから片言の言葉(単語)を話始めます。上手に発音出来る場合と上手く発音出来ない場合もありますが、意味と言葉がある程度一致してきます。しかし、時折、大人が認識している言葉の意味と幼児が認識している言葉の意味がずれる事があります。この時、大人の認識で子どもに注意した時、子どもとの認識がずれている場合があります。例えば、大人の目から見て子どもが走り回っていて危ないと認識し、走ってはいけないと注意したのに対し子どもは走り回っていない。注意されるのは不服だ。この様な表情を出す事があります。この例は実際にあった例です。では詳細について書いていきましょう。まずは子どもの特徴についてですが、3歳くらいまでの子どもは正しい、正しくないは大人よりも厳しく判断します。ですから嘘をついても案外態度バレバレだ足りする事が多くあります。しかし、自分が不利益になっている様な場面、興味や欲求が強く自分をコントロールできないような場面では、なかなか指導に従わない事もあります。その様な場合もちゃんと説明し納得させれば嫌々であっても納得する事が多くあります。
 イヤイヤ期等は好奇心や向上心が自分をコントロールできない原因ですから一度は子どもの要求を受け入れてから子どもを納得させる工夫をするべきだと思います。悪い状態とはその様に工夫すれば子どもを納得させ良い方向に導く事ができない状態です。これは前ブログでも話しました。
 これは、園にで実際にあった例です。4歳児、室内遊びの時には室内を走らないというルールの時があるのにこの子は室内を走り回っていたので、「部屋の中では走らないように」という注意を与えます。しかし、この子は注意に従いません。次は強く注意しますが不服であるという表情を示します。それでも走り回っているため注意ではなく指導(叱る)事にしましたがこの子は納得しません。その時、親御さんのお迎えがあったのですが親御さんの顔を見るなり号泣してしまいます。事情を説明し、そのまま帰宅する事になりましたが何かしっくりこないものを感じたのでチーフの保育スタッフに聞いて観る事にしました。「あそこまで頑なに抵抗する理由は何だと思う」この様な疑問を投げかけたと思います。それに対し保育スタッフの答えは「膝をついていたからではないですかね」というものでした。これを読んでいる方は?が沢山出ているのではないでしょうか。それでは以下の様に整理してみましょう。

室内遊びのルール
 室内では走ってはいけないというルールを決める

このルールを徹底させる為に走るという事の定義を決める

走るという行為の定義
①立っている状態であること
②激しく動いている事

そこで、この子は膝をついた状態で激しく動いていた為、自分は走っていなかったという認識があったのではないかと仮定しました。私は走っているという認識で注意をしているので、そこにズレがあります。子どもの言い分では自分はルールの中で工夫しているのに叱られた。と感じ、私の中では今日は素直ではないと感じます。このズレがお互いを「不満」の状態(感情的に相手を攻撃する)になっていたと考えました。以下はその時の心の中の感情を推測してみましょう。

子どもの感情・・悪い事はしていないのに怒られた。納得できない。
大人の感情・・・素直に認めず反抗的な態度をとる子供にいあら立ちを感じる。

2,認識のズレが悪い状態をつくる
このエピソードは何人かの人に意見を求めた事があります。しかし,ほぼ全員の関心は薄く「だから」とか「それで」的な反応でした。ただ、このエピソードには重要な事柄が多く隠れている様に私は思っています。それを成功にピラミッドに照らし合わせ整理してみました。

(1)子ども、大人の認識のズレがそれぞれに対し不満の感情を作り出している。この状態が「悪い状態」であり,この状態では何をやてっても上手くいかない。
(2)お互いの感情が不満の域「悪い状態」に長く止まると無関心の域に下降する。この様な関係の修復が不可能に近い。
(3)お互いが悪い状態に止まった場合、力関係で物事を前に進める様になり,お互い②とって厳しい状況になる。またパワーバランスが崩れた時にその集団(家庭・学級・会社)は崩壊する。
(4)悪い状態をつくるきっかけは大人(強者)の見逃しで子ども(弱者)が崩壊する事で起きる事を多くの大人(強者)が理解していない。

3,認識のズレに気づくという事
 人を見たとき先ず疑ってかかる事は好ましい事ではないかもしれません。しかし,物事の事象については結果的に成功、失敗それぞれの場合においても検証が必要だと思います。先例「走ってはいけない」の注意に反発した子どもの例でいえば、多くの場合で今日は素直ではない,成長して生意気になった等と考える事が多いと思います。そこで「ちゃんと言うことを聞きなさい」等に強い叱責になった場合、子どもの立場で考えるならば自分は悪いことをしていないのに叱られた不満が大きくなります。この時に大切な事は,いつもと違う反応が返ってきた時、その理由を掘り下げて考える習慣をつけるべきだということです。事象については疑ってみる。何故と考え、自分の対応が正しいかと疑ってみる。この様に考える習慣をつけることにより悪い状態をつくらず、常によりベターな結果に落ち着く事ができるのではないでしょうか。この考え方が私の子どもや選手をを育てていく上での基本的なやり方になっています。

次回は具体的対処法について、但しこれも個人的な考え方を元に行ったものです。