子育てのヒント
2023年03月30日

インプットとアウトプット

インプットとアウトプット

1,インプット
 子供と失敗をする生き物です。どんなにしっかりしている様に思える子どもも初めて経験する事では必ず失敗します。以前保育園の経営をしていた時、バスや地下鉄などの交通機関を使って移動する「遠足」という行事を月1回程度で行っていました。およそ年中以上の園児が参加していましたがこの行事に参加するには資格が必要になります。年齢に関係なく希望する園児は週1回の遠足に参加できます。この遠足とは字の通り遠くまで歩いて行き、歩いて帰って来るといったシンプルなものですが幾つかルールがあります。ひとつはおよそ2時間程度の時間を歩きるという事です。不平、不満を漏らした段階で全員が引き返します。次に一列無言で等間隔に歩くという事です。これもできなければ全員が引き返すがルールです。案外子どもでも連帯感がうまれるのか協力的に初心者や年少者達をフォローしながら歩く事ができます。この遠足に合格した子どもたちが本番の「遠足」に参加する資格を得ることになります。
 余談ですが遠足に参加するための試験もあります。年少以下の子どもたちが近くにある公園の1週680mのランニングコースを同じルールで歩き通せた子どもが遠足に参加する資格を得ます。以前はもっとフランクに本人の意思で参加を決めていましたが脱落者も出るためこの様なルールを決めました。
 本番の「遠足」に参加する前に必ずルール確認をします。基本的に引率する職員の方で幾つかのルールを提示し,このルールは必要か必要でないかを子どもたちに決めさせます。以下のその時の様子を抜粋してみました。
 
○交通機関を使うか徒歩で移動するかを決める
 当然徒歩での移動では難しい場所(市川市南行徳から新浦安、葛西方面)の場合交通機関(バス、東西線)を利用する、しないを子ども達に決めさせます。
○交通機関を使う目的を確認する
 交通機関を使う目的は移動に関わる時間を短縮するためであり、目的地に着いてから自由に遊ぶ時間を多くとることが目的である。従って、無駄な時間を移動中にとることは遊ぶ時間が短くなってしまう事なども説明しいかに移動で無駄な時間を使わないようにするかを意識させます。また交通機関を使う練習である事も付け加えて説明します。
○出発前のルール(目的)を確認する
(1)交通機関を使う場合どの様に行動すべきか・①人の迷惑にならない様にする
↓ ②時間の無駄になるような事はしない

(2)その為にはどうすべきか・・・・・①無駄話はしない
②全員がまとまって同じ所にいる
③移動中は全て先生の指示に従う
④駅のフォームでは壁側にまとまって座る
 上記の様に毎回同じルールになりますが、これは経験者がいるため前回行ったルールと同じルールを提案してきます。もし前回失敗したケースがあればルールは増えますが増えすぎても紛らわしくなるので毎回出発前にルールを精査し4コ程度にし出発します。

2.アウトプット 
    ルールを頭に入れて実際の行動に移します。これがインプットされた情報(遠足の目的、やルール)が実践できるかを試す場面になります。この時30%程度の確率で失敗します。ある時は東西線で葛西地下鉄博物館へ移動する際にルール違反があり浦安駅で下車しそのまま保育園まで歩いて帰る。この様なケースもありました。ではどの様な状況で失敗するかを説明します。普段の生活で落ち着きがない子が失敗する。大体の方はそう思うかもしれませんが、失敗する子どもの多くは初めて「遠足」に参加する未経験の子どもです。性格は関係ありません。そして初めて経験する子どもは、比較的年少者よりも年長者が失敗します。これは初めての経験で気持ちが舞い上がってしまいインプットされた情報通りに行動できなくなるために起こると思います。そこでルールが発動されます。違反があった段階で交通機関は使えません。徒歩で移動する事になります。帰りの時はまだましですが、行きの場合は修羅場になる事も珍しきありません。楽しみにしていた行事が途中でなくなります。当然ルールを守って行動していた経験者の感情が爆発します。場合によっては失敗した相手に不満をぶつけます。失敗した子どもは失敗した自分に対する悔しさに追い打ちをかける様に非難され泣き出す事もよくあります。

3,アウトプットを検証する
    子どもは失敗する生き物です。頭で解っていても失敗はします。ですから出発前に入念に打ち合わせを行います。これは失敗させないためのものではなく失敗した時にはルールは発動する。その時の言い訳は聞かない。という指導者側の意思を伝えるためです。小さい子どもといえルールは守る事が前提の集団行動です。それが大人になっていくうえで本人の力になるような指導をするべきです。そこで検証では以下の2つの点で検証をします。

(1)失敗の原因
(2)経験している子どもの失敗した子どもへの対応

    検証はは保育園に帰ってから行いますが場が修羅場となった場合はその場で行います。(1)失敗の原因の理由は明確です。初めての経験で舞い上がってしまい自分をコントロールできなくなったからです。大人からみれば簡単に結論は出ますが子ども目線では具体的に検証します。窓の外の景色につられた。電車が来たので興奮したなど具体的な場面で自分が失敗したという経験を確認します。賢い子どもは何らかの事情で自分をコントロールできなくなった事を理解しますが、全ての事象を積み上げなければ理解できない子どももいます。次の機会では窓の外の景色はコントロールできたが、電車がきた瞬間忘れる。この様な子どもには一つ一つ失敗する体験をさせ、その都度どうすべきかを考えさせます。次は(2)経験している子どもの失敗した子どもへの対応になります。この方法については次回提案しましょう。