メソッドのエピソード
2023年05月13日

目標を達成するために仲良くする事は必須ではない

目標を達成するために仲良くする事は必須ではない

 良い結果を求めるならば集団内の関係は良好である事が望ましい。誰でもそう思います。では、どう努力しても良好になれない。なれなかった場合はどうしますか。例えば部活動内の人間関係がギスギスしていてやりづらい。この様な時の顧問の気持ちになって下さい。大切な試合が間近に迫っている。しかし部内の雰囲気は良くならない。そこで顧問はミーティングをします。「大切な試合が近い。皆で協力して大会に臨もう。」実は私自身の失敗談です。結局、部の雰囲気は良くならず今以上にどんよりとしました。顧問と生徒の関係でも同じです。一度ギスギスししてしまえば結果は変わりません。ではどうすれば良かったでしょう。今ならこう言います。「仲良くする必要はない。目的を考えて目的に沿った行動はしろ」こうなります。

1,集団の雰囲気が悪くなる理由
(1)全員がやれる集団
   全員にやる気があり目標に向かって活動しています。全員ができる子ならば上手くいくはずですが人間には好き嫌いがあります。好きなやり方、考え方、そこで感情の中に好きな人間、嫌いな人間が産まれます。人間は理性よりもも感情が優位に立ちますので自分の立場や考え方を守ろうとしたり違う考え方の人間を排除しようとします。こうなれば同じ集団で同じ目標がありながら足を引っ張り合うこともします。これを派閥といいます。

(2)ステージが違う集団
   やる気があり「できる子」全く興味が無い「やらない子」やる気はありながら最後は逃げてしまう「できない子」この様にステージの違う集団の場合、できる子はやらせようとしますが、やらない子は動きません。できない子はプレッシャーで逃げてしまう場合もあります。この様な状態が煮詰まってくると集団の中に不満の空気が流れます。この空気が外に出れば爆発することもあり、内にこもれば何となく居心地が悪い空気に支配され何をやっても上手くいかない環境ができあがります。ではどうすれば良い結果を出す事ができるでしょうか。

2,目的を明確にする
   人間関係がギクシャクしている場合、集団をまとめる立場の人間は雰囲気を変える努力をします。ミーティングを持ち話し合いをし、お互いの言いたい事を吐露させたりする事があります。これは危険だと思います。中途半端に行うとさらに悪化することがあります。私もこれで何回か失敗しています。ではどうすれば良い方向に舵を切ることができるのかを考えてみます。先ず感情をコントロールすることは不可能です。感情は何か劇的な出来事が無ければ変わりません。嫌いなものを好きになるには劇的な切っ掛けが必要です。もし切っ掛けになるとすれば今の状態を何とか持ちこたえ結果が出た時です。今は過程になります。過程の段階で嫌いな人間と仲良くすることを要求してもかえってストレスが溜まり悪い状態をつくります。そこで、敢えて仲良くする必要もない。自分の思うように行動すれば良いと伝えたうえで目的を明確にします。目的を明確にするため目標を決めます。その目標を達成するためのサブ目標を最低5個以上決め、それぞれのサブ目標をつくった目的を明確にします。この目的を達成するための具体的行動を決めます。これが課題になります。

3,課題を決める
 上記の(1)の場合は全員がで「きる子」なので目標は簡単です。(2)のステージが違う集団の場合は全体の目標を調節して最終的な目標をつくります。そして目標を達成するためのサブ目標を決め目的を明確にします。課題はサブ目標をクリアーするために具体的に行うことです。課題には期限を設け課題をクリアーできたならば新しい課題を作り期限を決めバージョンアップを続けます。下図は(1)の集団と(2)の集団ではの例を図にしたものです。



①大目標・・大会で優勝する
②大目標を達成するために必要な要素(サブ目標)を5個以上決める
③サブ目標を決めた目的を明確にする。
全員が11秒5→目的・・全体の走力アップが必要。その為の指標が必要
④課題と期限を決める
全員が11秒5以内で走るための方法を各自、チームで決め達成するべき期限を決める

(2)の場合(陸上競技編)



①大目標・・予選は突破する
②大目標を達成するために必要な要素(サブ目標)を5個以上決める
③サブ目標を決めた目的を明確にする。
時間を守る、練習に集中・・様々な価値観を目標に向け統一する
④課題と期限を決める
予選を突破する目標を達成するためにはチームの意識の統一は必須である。この場合の期限は試合当日にし目標を達成できた場合は新たな目標をつくる。できなかった場合は理由を分析し次につなげよう。

 雑記
 難しい目標を達成するために不可欠な要素は「楽しくやる」です。集団がギクシャクしている場合、嫌いな人間と無理やり楽しさを演出したところ苦痛でしかありません。むしろ感情的なことはそのまま同じ目標に向かわせることが重要です。結果が出るたび、課題をクリアーするたびに充実感や満足感を得ることができます。これが楽しいという気持ちにつながります。その後には劇的な出来事になるかもしれません。