松尾メソッド
2023年06月17日

行う事 続けること

    行う事 続けること

1.続けることはワクワクする事
 前回お投稿で100mのレースの結果を踏まえどの様な伝え方をすることが効果的な指導課というエピソードを話しました。あの時の指導者の判断が「練る」であり実際選手に伝えた行為が「行う」になります。では続けるとはどの様な意味があり、どの様なことなのでしょうか。そこでヒントをひとつ出します。Dにあの様な対応ができたのはDが続けることができた選手だからです。続けるということは練習に真面目に取り組むだけではなく常に新しい実力を上書きし保存できる能力がある。この様に考えて下さい。真面目に取り組む選手は安定した結果を出す事ができます。しかし良くも,悪くも安定しているだけでは記録の向上はあっても試合で勝つことは難しいと思います。ここで大切なことは絶対評価と相対評価両面で考えなければいけないということですが多くの場合絶対評価のみで判断する選手や指導者が多いと言う事です。小学生から中学生までなら体の成長のみでも記録は伸びます。これは他の選手にも言えることなので自分の記録が伸びているといっても相手も同じ様に記録が伸びていれば結果は変わりません。
 解りやすい例でいえば真面目に練習に取り組んでいるだけの選手はしっかり前を向き確実に前進していると考えて下さい。しかし記録が飛躍的に伸びている選手は前を向き着実に進んでいますがその道には角度がついています。最初は2~3度くらいの緩やかな角度です。角度を意識できない程緩やかかもしれませんが100m歩いた地点で気が付くはずです。他の選手よりも高い所にいると。これがワクワクの正体です。
 ではどこで平らな道を歩く他の選手と坂道を歩く自分が分かれたのでしょうか。この違いは先ず自分の力を客観的、俯瞰的に観る力があるかどうかで分かれます。次にその力を利用し自分の改善点を見つけ、改善点を改善できる方法を考えることができるかできないかで道は分かれます。ですから飛躍的に記録が伸びる選手は必ず記録をとります。記録をとることによって自分の修正点や改善点を明らかにしてどの様にすれば改善できるかの方法を考えます。最初は簡単な事から始まりますが少しずつ角度は急に厳しくなるでしょう。これは選手の目標が高く向上していった証拠です。坂道の角度が15度くらいなると登る事がきつくなるはずです。今までは少し頑張れば克服できた課題が簡単ではなくなる。最初はローポジティブだったエネルギーがこの頃を境にハイネガティブな方向に変わり始めます。この時から葛藤の域に入ります。

2,諦めないために「あきらめる」
  成功を勝ちとりたいのなら諦めず結果が出るまで続ける事です。これが「続ける」の意味です。では何故諦めないために「あきらめる」のか一見矛盾していますが、この場合の「あきらめる」とは「明らかに見極める」の「あきらめる」になるので諦める事を意味しているわけではありません。葛藤の域に長くいることは危険です。この域は成長するためにに必要なポジションですが長居し続けると葛藤に使うエネルギーが渇望してきます。この状態はネガティブでかつ高いエネルギーを消費するため心のガス欠状態に陥る危険性が高いと認識するべきです。ガソリンが無くなってしまえば車が止まるように心のエネルギーが無くなってしまえば活動を続ける事はできません。この様な時こそ「明らかに見極めて」一度止まってみる。できれば高い所に登ったイメージで自分を俯瞰的、客観的に観る必要があります。その時に気づくかもしれません。ワクワクの時には緩やかに登っていたはずが今は緩やかに下っている。下の図はそのシステムを図化したものです。

 鳥の目になったイメージで自分を見下ろして下さい。その下り始めた分岐点が解るはずです。分岐点は山の中腹です。今まで順調に途中から少し険しく登って来た山の中腹。上図でいえば「葛藤」のポジションです。そこから一段と登りが厳しくなったところがあるはずです。上図の⑤(成功の決断)そこが分岐点です。では何故貴方が気づかないうちに下り坂に迷い込んだか。その答えは簡単です。貴方に頂上までの急坂を登る力が備わっていなかったからです。「明らかに見極めて」やるべき事は二択です。分岐点まで戻り一端止まって最後まで登れる力を溜める。もう一つは無駄な荷物は捨てる。場合によってはこの両方を行う。上手に力を溜める事ができれば荷物を捨てずに頂上を目指す事も可能でしょう。指導者の役割はこの時の選手の判断が正しいか誤っているかを選手に伝え正しい判断をするサポートを行う事です。この時の判断材料は選手個々のポテンシャルです。前にも書きましたがポテンシャルは常に右肩上がりではありません。状態によって変化するので葛藤の域から⑥の集中のポジションに移行する為に必要な身体的、精神的なポテンシャルを引き上げるヒントを与え共に⑤の不安乗り越える工夫をするべきです。この時に上手に対処できないと選手を⑤不満のポジション下げてしまい続ける事は不可能になります。

 雑記

 前回の投稿の最後にも書きましたがプロ野球の二軍の選手に試合に負けたとして罰走をさせた。これが結果的に正しいかとい文章を投稿しました。これは私の私論です。この分岐点を間違える原因に全てに「must」~でなくてはいけない。という考え方がある。この様に考えています。これを「let’s」や「shall」~しよう。やってみようで考える習慣をつける事が迷い道から抜け出す近道かもしれません。そして明らかに見極めたなら力を溜めて時期を待つ。頂上に向かうもっと緩やかな道があるならばそれを選択し多少なりとも時間はかかっても登り切る。この様な感覚で新しい方法を模索するのも良いでしょう。この過程こそが経験になり、克服した事が自信になります。
   次回は葛藤の乗り越え方。ちょっとしたコツというか,考え方を書きます。