松尾メソッド
2023年07月30日

戦術 2

 戦術 2

1,ワンランク上のステージで実力を出す
 戦術には2つの考え方と方法があります。1つは実力のある選手が確実に勝ちに行く方法。もう一つがワンランク上のレベルで成績を収める方法です。2番目の例で言えば県レベルの大会で決勝への進出は難しいと思える選手を決勝に進出させ入賞させる。県通信大会では予選で敗退した選手を県総体では決勝まで進ませ入賞する。この様なことです。大きな大会で自分の実力よりワンランク上での成績を収める事ができれば自信に繋がり次の大会でも同じステージで戦うことができる様にになります。今回は2つめの自分の実力よりワンランク上のステージで結果を出す方法について説明します。若干難解な文章になります。また,すぐにできるというものではありませんが参考までにといった気持ちで読んで下さい。

2,自分の力を分析しレースの展開を予想する
 陸上競技の短距離種目における予選、準決勝、決勝のレースで次のラウウンドへ進む方法で多く取り入れられているやり方は、予選は各組上位2名は次のラウンドに進みその他に準決勝の8レーン分を埋めるためのにプラスでで若干の選手が拾われて次のラウンドに行きます。準決勝が2組、3組よってプラスで拾われる人数は変わります。予選の組数によってもプラスの人数は変わりますが、予選で必ず2位以内でなければ次のランウンドに進めない分けではありません。そこで予選が8組、9組で準決勝が3組の場合をシミュレーションしてみます。

  予選  8組   2着(16名)+8名 ・・・24名が準決勝進出
      9組   2着(18名)+6名 ・・・24名が準決勝進出
  準決勝   3組 2着( ⒍名)+2名 ・・・・   8名が決勝進出

    予選を8組。9組と仮定した場合各組2着は着順で次のラウンドに進み残りの人数は各組に3位以降の記録の良い選手が拾われて次のラウンドに進みます。8組の場合のプラスが8名。9組でプラスが6名になり各組に均等にプラスを割り振った場合、8組では上位3位までが準決勝に進み、9組では6/9の組で3位までが準決勝に進む事が数字上可能になります。予選はある意味上位3位まではセーフティーゾーンと考えることができます。この考え方の逆の考え方をするならば4位以降、場合によっては組5着であっても他の組との記録の比較で次のラウンドに勧める可能性は0ではありません。そこで他の選手のデータを把握している場合、自分が走るレースの予想を立てます。安全なセーフティーな位置にいるのかセーフティーの可能性がある位置にいるのかを判断し、自分がよりセーフティな位置(2着以上)に入れるレース展開をイメージします。この時、自分の実力が3~4番手の場合は無理をして自分のレースができずに4~5着になることを避け最終的にセーフティー範囲内の3番だけは死守するレースを行います。この場面で大切な事は死守すしなければいけないという緊張感の高い場面ですが緊張はしつつもリラックスした状態をキープすることです。この矛盾した状態を保つために必要な力は精神的ポテンシャルの高さです。予選を突破した後は準決勝のレースの予想をします。準決勝の番組編成は大方以下の様になります。

3組編成(予選が9組と仮定)  準決勝3組2着+2名が決勝へ進出
1組 ②②①①①②②③    ①は各組1位着順の選手(9名)
2組 ②②①①①②③③    ②は各組2位着順の選手(9名)
3組 ③②①①①②③③    ③は+で拾われた選手(⒍名) 計24名
  87654321  レーン順
 
 上の表は各組の予選の順位とプラスで拾われた選手の準決勝の組とコースの配置の予想です。この表と別に次の表の様な考え方を同時に行いレース展開をイメージし選手にやるべき事の事前学習します。

3組編成(予選が9組と仮定) 準決勝3組2着+2名が決勝へ進出
1組 DCBSABCD          Sは決勝1~3位予想のの選手(3名)
2組 DCBSABCD          Aは決勝3~5位予想の選手 (6名)
3組 DCASABCD          Bは決勝4~8位予想の選手 (⒍名) 計15名
        87654321  レーン順

 準決勝には24名の選手が残ります。この選手達を実力でランクをつけA~Dのランクで考え直します。もし準決勝がプラスで拾われた選手であっても(予選3位以下通過)自分の実力がCランクであれば決勝に残るチャンスはあると考えます。これは隼決勝に残った24名のうち決勝に残る可能性を残した選手は15名はいるという考え方です。そこから上位3名(Sランク)の選手はアクシデントが無い限り順当に勝ち抜け手いくのでB、Cクラスの選手が決勝に残る可能性は、5/12になります。これは考え方を変えるとこの様に解釈できます。決勝に残る為には各組で上位2位でなければいけないという(2/8の確率)考え方と、準決勝を通じてB,Cランクの選手の戦いで5/12に入れば良いという考え方ではどちらが可能性が高いと感じるかが大切です。人間は感情に左右されることが多く考え方1つで可能性が高いと感じた場合は次のステップに向かう集中も変わってきます。そして、この局面で最も重要な要素が精神的ポテンシャルの高さです。それを表しているのが成功のピラミッドです。 

2,成功のピラミッド

 上の図が成功のピラミッドです。ブログの中で何回も登場している題材ですが今日は葛藤から上の部分のみの解説になります。レースに対する不安から徐々にレースに集中し結果を出すまでの心の動きを表しています。※1の補足は、もし結果的に自分の思うような結果ではなかったとしても体感的に自分が納得できたかどうかが大切です。納得できたレースであっても次のラウウドに進めなければ力不足です。次のレースに向けて自分の足らない部分をどう補うかの戦略的練習を考えればいいだけです。もし納得ができるレースができなかった場合は理由を分析し経験としてストックすれば良い。これだけのことです。
 この様に葛藤から集中を経てゾーンに入ることができれば自分の実力の1つ上のランクで戦う事も可能になります。そこでやるべき事は以下の4点になります。
 
(1)結果にとらわれない。自分のやるべき事を確認する。
(2)レースのイメージを作る。自分に都合の良いイメージではなくリアルな展開、順位を予想する。
(3)良い結果が出るイメージを想像する。何故良い結果になったか理由を整理する。
(4)悪い結果が出るイメージを想像する。何故悪い結果になったか理由を整理する。※2
※2について行うことが悪い影響を与える可能性のある選手は行わない。

3.戦略と戦術
 戦略と戦術はセットで考えなくてはなりません。戦術が思った様に行うためには戦略的な準備は確実に行っておかなければならず失敗は許されません。ですから戦略はミスの無いようにセーフティーであるべきです。一方戦術は迷いや躊躇は命取りになります。正しい判断が要求されます。正しい判断には勇気が必要です。戦略の段階で身体的なポテンシャルと精神的ポテンシャルを計画的に高めていく事も大切です。それ以上にコンデションの管理は重要な要素です。戦術だけを考えると小手先のテクニック的なイメージはありますがその為の地道で泥臭い準備は必要です。

 後記

 戦略と戦術について話をしてきましたが、これと似た様な活動にプロジェクトというものがあります。これもチームがまとまって1つの目標に向かって動く事ですが、このプロジェクトで重要なものに「信頼」があります。次は信頼についての持論をします。キーワードは「素直」

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