松尾メソッド
2024年04月24日

子供の顔色を観る理由

 大人に比べ子供の可能性が高いと考えるのは好奇心の強さです。好奇心は良くも悪くも経験不足(無知)から来る怖い物知らずの面が大きいと思います。しかし子供の好奇心は心の赴くままに良くも悪くも大きく動きます。その為に嫌だと感じた瞬間に好奇心は警戒心に変わってしまいます。そこで子供の顔色を観察し子供の状態を把握する指導の重要性があると考えます。子供の好奇心が大きく動く事で子供の注意力が無く飽きっぽいと映ることもあります。ここで勘違いをしてはいけない事は,この様な子供の状態を見て躾と同じ感覚で指導する必要性を感じる指導者の方も結構いるという事です。指導の目的は先ず強い選手を育てる。この目的が第一に来なくてはなりません。そこで強い選手になるために必要となる精神的ポテンシャルを高める指導を行います。この中に困難に際しても諦めない粘り強さ、馬に応じた礼儀等の必要性を教える事になります。しかしまだ好奇心の段階の子供にこの様な事を教え方をすると好奇心の芽を摘むばかりでなく警戒心に変わる事もあります。以前の投稿でも子供は大人に比べ無敵であると書きました。これは経験が浅い為に好奇心の波動を大きく振ることができるからです。波動が大きく揺れるという事は良い方向にも悪い方向にも揺れます。この波動の揺れか幅の大きさかが子供特有の行動力の速さに繋がっているとも考えます。そして、この波動は悪い方向にも反応します。

 話を戻します。先ず躾的な指導をどう捉えるかが問題です。これは解釈の仕方にもよりますが子供は自由に育てる。躾などしなくても良いと捉えてしまうと全く違う意味になります。躾的指導の最初の段階は、子供に~でなければならない等の指導をすることです。この様なことを教えることは重要ですが好奇心上位の子供にはまだ早いと考えます。好奇心の段階では不安な気持ちの中にも「楽しそう」を求める段階です。この時に~でなくてはいけない項目を強要すると好奇心が警戒心に変わる危険性があります。ではどのタイミングが効果的かと言えば子供のステージが好奇心から向上心にアップデートされた後と考えまます。向上心は「たのしいこと」を求める事から「もっとこうなりたい」を求める様に成ります。この段階では「~でなくてはいけない」が「~する必要がある」にアップデートされます。このタイミングで精神的ポテンシャルが一つ上の段階に上がったと考えます。子供の顔色を観るとは、子供の状態、タイミングを見極め、有効な助言の方向性を考えることです。
 経験の無い子供は多くの経験をするメリットがあります。それは失敗もも多くするという事です。 失敗は心に「不安」という要素を創ります。この不安が子供に限らず私たちが新しい一歩を踏み出す時のブレーキとなり可能性を潰す一番の原因です。また子供状態に好印象を感じたからといって次の日には全く違い状態に変わっていることも当たり前の様にあります。その為子供の顔色を観察して今現在の状態を把握しなければならないと考えます。

 最初は好奇心からスタートした子供の精神的ポテンシャルが次のステージにアップデートすると好奇心が向上心に変わります。これは「楽しいからやる」から「面白いからやる」に変わるということです。このことで好奇心では無かった「目標」や「目的」が明確になります。精神的ポテンシャルが好奇心から向上心にアップデートされ定着したたことが確認された時から「粘り強く頑張る」事の意味や「礼儀等の大切さ」を教えます。この時も頭ごなしに押しつける様なものではなく、子供が自らの考えで必要であると思える様に教える事をお薦めします。
 子供のポテンシャルがアップデートした瞬間を解りやすい例えで言えば,昨日まで食べることができなかったピーマンを今日は食べることができている。この様なイメージです。しかしピーマンを食べられる、食べられなを見て判断するのと違い、子供の精神的ポテンシャルを判断するには経験と練習は必要です。そして向上心の域にアップデートした時から不安の域と葛藤の域を何度も行き来しながら強い精神的ポテンシャルを身につけていくことになります。

 

 

 後 記

 古い時代の指導では指導者の言う事は絶対といった空気がありました。しかし選手を育てるという事を一番の目的として考えるならば選手目線で指導を行うことが正解だと考えます。実はこの様な指導をする指導者は自分が教員になった当初から居て私はそのやり方を真似ることから始めています。選手の顔色を観ると言う表現が選手のご機嫌を取るといったイメージに繋がるかもしれませんが決してその様な事ではありません。上の図の③のポジションに移行するくらいから若い選手であっても自然と挨拶等の礼儀が備わって来ます。躾はするよりも子供が自発的に行うものとまでは言い切れませんが正しい、美しい身のこなし精神的ポテンシャルのアップデートと密接な関係があると確信しています。好奇心レベルの挨拶は強要させられているのかなと肌で感じることも多くあります。これは思い過ごしでしょうか。